築20年を超えた投資用ワンルームの売り時と価格の考え方
価格の段差は築20年ではなく築30年にあります。当社が検証した東京23区の成約338件(2026年10月時点)では、築10〜29年の価格の水準はほぼ同じで、築30年を超えると同じ家賃でも1〜2割下がります。築20年超の売り時は、築年数より家賃と残債で決まります。
築20年を超えると価格はどう変わるのか。東京23区の成約338件では価格の段差は築30年にありました。築年帯ごとの検証結果、修繕積立金の値上げの影響、売るか持つかの判断材料を整理します。
執筆・監修:橋本裕介(不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士)|更新日 2026-11-07
結論:価格の段差は築20年ではなく築30年にある
投資用ワンルームの価格は、築20年を超えても築30年までは、築年数より家賃で決まります。当社が検証した東京23区の成約338件では、築10年から築29年までの価格の水準(家賃に対する価格)はほぼ変わらず、築30年で段差があります。同じ家賃なら、築30年を超えると価格は1〜2割下がります。横浜市・川崎市・京都市も同じ形です。
理由は買い手のローン期間です。多くの金融機関は築年数が古いほど融資の期間を短くするため、月々の返済が増え、買い手が出せる価格が下がります。大阪市・福岡市・名古屋市・神戸市は、築年数とともに価格の水準がゆるやかに下がる形で、築30年の段差も加わります。
築20年台は、価格がもっとも読みやすい時期
築20〜25年は、検証した築年帯の中で成約価格の差がもっとも小さい帯です。家賃が安定し、買い手の融資も通常の期間で組めるため、価格が読みやすい時期と言えます。築30年以上は差の平均が約14%で、時点を分けた検証(60件)では表示価格の±20%の幅に入った成約が約7割でした。築30年を超えると、価格は1本の数字ではなく幅で見る必要があります。
| 築年帯(東京23区 都心・城南・城西) | 検証した成約 | 表示価格÷成約価格 | 差の平均 |
|---|---|---|---|
| 築10年未満 | 43件 | 102% | 8.9% |
| 築10〜20年 | 45件 | 103% | 8.2% |
| 築20〜25年 | 35件 | 98% | 5.5% |
| 築25〜30年 | 15件 | 102% | 9.1% |
| 築30年以上(参考) | 45件 | 105% | 13.9% |
※ 2026年11月3日時点。東京23区・横浜市・川崎市・大阪市・福岡市・名古屋市・神戸市・京都市・さいたま市・千葉の成約。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。
築30年を超えると価格はどのくらい下がるか(公開データでの確認)
成約データとは別に、国土交通省が公開している取引価格情報でも同じ形が確認できます。東京23区の1R・1K(専有面積13〜30㎡)の取引を築年帯ごとに集計すると、㎡あたりの価格の中央値は築10年未満から築25〜30年までほぼ同じ水準で、築30年を境に約3分の1下がります。築30年を超えた後は、築35年以上でも水準はほとんど変わりません。
㎡単価の下がり幅が、当社の「同じ家賃なら1〜2割」より大きいのは、築30年を超えた部屋は家賃そのものも低いことが多く、その分も含まれるためです。家賃が保てている部屋なら、下がり幅は1〜2割に近づきます。段差が築30年にある理由は、上に書いたとおり買い手のローン期間です。
| 築年帯(東京23区・1R・1K・13〜30㎡) | 取引件数 | ㎡単価の中央値 | 中央の50%の幅 | 価格の中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 築10年未満 | 2,873件 | 120万円 | 104〜144万円 | 3,000万円 |
| 築10〜20年 | 3,857件 | 112万円 | 96〜128万円 | 2,500万円 |
| 築20〜25年 | 1,828件 | 116万円 | 100〜135万円 | 2,500万円 |
| 築25〜30年 | 707件 | 110万円 | 92〜127万円 | 2,200万円 |
| 築30〜35年 | 652件 | 73万円 | 55〜93万円 | 1,400万円 |
| 築35年以上 | 2,871件 | 70万円 | 51〜90万円 | 1,400万円 |
※ 出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ 不動産価格(取引価格)情報。2024年7月〜2026年6月の取引(中古マンション等・1R・1K・専有面積13〜30㎡・東京23区)12,790件を当社で集計。公開データは価格と面積が丸められているため、㎡単価は概算です。「中央の50%の幅」は、取引を安い順に並べたときの25%点から75%点の範囲です。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。
築27〜29年は、判断を先延ばしにしない
築30年の段差は、年を1つ越えるだけで価格が1〜2割変わるということです。築27〜29年の物件は、売るなら築30年になる前が有利で、持ち続けるなら築30年以降は売却価格が下がる前提で収支を考えます。当社の結果画面では、築27年以上30年未満の物件に「まもなく築30年」の注意書きを出します。
大規模修繕と修繕積立金の値上げ
築15〜20年で1回目、築30年前後で2回目の大規模修繕が行われるのが一般的です。修繕積立金が値上げされると手取りの家賃収入が減り、価格にも影響します。
例: 家賃8万円、管理費と修繕積立金が合計1.5万円の部屋で、修繕積立金が月5,000円上がると、収益は月6.5万円から6万円になり、価格は約8%下がる計算です。管理組合の総会資料で長期修繕計画と積立金の予定を確認しておくと、値上げの前後どちらで売るかを判断できます。
判断を誤りやすい例
- 「築20年を超えたから、もう安くしか売れない」と決めつける。築20年台は価格がもっとも安定している時期で、家賃が保てていれば築10年台と大きくは変わりません。
- 築29年で「来年まで様子を見る」。築30年を越えた瞬間に、買い手のローン期間の都合で価格の水準が変わります。
- 築30年以上で、査定の1本の数字を売り出し価格の根拠にする。成約価格の幅が広い帯なので、幅の上限と下限の両方を見て売り出し価格と最低ラインを決めます。
売るか持ち続けるかの判断材料
現在の価格の目安、ローン残債、毎月の収支、今後の修繕の予定を並べて比べます。当社の査定では価格の目安を表示し、出口戦略診断では残債や優先事項を伺って、売却・保有継続・借り換えなどの選択肢を整理します。
本記事は一般的な考え方の解説です。表示する価格は実際の成約で確かめた計算による目安で、実際の売却価格を保証するものではありません。売却をご希望の場合は、当社または提携する宅地建物取引業者が対応します。
この記事に関するQ&A
- Q. 築30年を超えると、本当に売れにくくなりますか?
- A. 売れなくなるわけではなく、買い手が使えるローンの期間が短くなり、価格の水準が1〜2割下がります。当社の検証でも、築30年以上は成約価格の幅が広く、表示価格の±20%の幅に入った成約が約7割でした。価格は幅で見て、売り出し価格と最低ラインを決めてください。
- Q. 築25年です。いま売るべきですか?
- A. 価格だけで言えば、築30年になる前のほうが有利です。ただし売る・持つの判断は、価格のほかにローン残債、毎月の収支、修繕積立金の値上げの予定で決まります。出口戦略診断で残債と収支を入れると、売却した場合の手残りと持ち続けた場合の収支を並べて確かめられます。
- Q. 築古は仲介より買取のほうがいいですか?
- A. 買取は早く確実ですが、価格は仲介の成約より低いのが普通です。築30年以上でも、融資を使う買い手はいます。まず仲介で成約する価格の目安と幅を確かめ、買取の提示額と手残りで比べてから決めてください。
関連するよくある質問
関連する解説記事

査定を監修するのは私です
橋本裕介
不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士
査定の計算方法と精度は、実際の成約で検証しています。当サイトは売却をおすすめするための査定ではなく、いま売るといくらか、持ち続けるとどうかを、オーナーの立場で整理するためのものです。