サブリースは解約できる?売却の前に契約書で確かめる5つのこと
サブリース契約は、オーナーの側からは簡単に解約できません。売却の前に契約書で確かめる5つの項目(契約期間、中途解約、違約金、賃料の改定、売却時の扱い)と、解約して売る場合・引き継いで売る場合の価格の違い、進め方を整理します。
執筆・監修:橋本裕介(不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士)|更新日 2026-10-05
結論:オーナーからの解約は簡単ではない。まず契約書を確かめる
サブリース契約では、サブリース会社が「借主」の立場になります。借地借家法は借主を保護しているため、オーナーの側から契約を終わらせるには、正当な事由が必要とされるのが一般的です。契約書に「オーナーから解約できる」と書かれていても、サブリース会社が応じなければ、そのとおりに解約できるとは限りません。
現実的な道は2つです。サブリース会社と話し合い、違約金などの条件で合意して解約する。または、契約を引き継ぐ前提で売る。どちらが得かは、契約書の内容と、入居者が実際に払っている家賃で決まります。
契約書で確かめる5つのこと
売却を考え始めたら、まずサブリース契約書(マスターリース契約書)の次の5項目を確かめてください。
| 項目 | 見るところ | 売却への影響 |
|---|---|---|
| 1. 契約期間と更新 | いつまでの契約か。自動で更新されるか | 満了が近ければ、更新しない交渉の余地がある |
| 2. 中途解約の条項 | オーナーから解約できると書かれているか。予告の期間は何か月か | 条項があっても、サブリース会社が応じないことがある |
| 3. 違約金 | 解約のときに支払う金額(保証賃料の数か月分など) | 解約で上がる価格と、違約金を比べる |
| 4. 賃料の改定 | 何年ごとに保証賃料を見直すか。次の改定はいつか | 改定で下がれば、引き継ぐ場合の価格も下がる |
| 5. 売却時の扱い | 売るときに通知や承諾が必要か。買主に契約が引き継がれるか | 手続きを飛ばすと、売却が止まることがある |
※ 契約の内容は会社や時期で異なります。上の例は一般的なもので、ご自身の契約書の記載が優先します。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。
解約して売る場合と、引き継いで売る場合の価格
引き継いで売る場合、買い手はサブリース会社から入る保証賃料をもとに価格を考えます。解約できた場合は、入居者が払う家賃をもとに価格が決まります。当社が集めた成約の販売図面では、保証賃料は通常の家賃の90%(中央値・36件)で、低いものは81%でした。
例: 入居者の家賃が月10万円、保証賃料が月9万円、管理費と修繕積立金が合計1.5万円の部屋。収益は、引き継ぐ場合が月7.5万円、解約できた場合が月8.5万円です。価格は収益に比例するので、解約できた場合のほうが約13%高くなります。引き継ぐ場合の価格が2,000万円なら、差は約270万円です。
この差と、解約にかかる違約金を比べます。違約金が保証賃料の6か月分(54万円)なら、解約したほうが手元に多く残る計算です。ただし、サブリース会社が解約に応じることが前提です。
進め方
次の順番で進めると、判断しやすくなります。
- 契約書で、上の5項目を確かめる。
- 入居者が実際に払っている家賃を確かめる。サブリース会社に開示を求めるか、同じ建物や近くの募集家賃を調べます。
- 引き継ぐ場合と、解約できた場合の価格を比べる。当サイトの結果画面は、サブリース中の物件に2つの価格を並べて表示します(差が小さい場合は1つ)。
- 解約したほうが有利なら、サブリース会社に合意での解約を書面で申し入れる。違約金と時期を確認します。
- 合意できなければ、引き継ぐ前提で売るか、弁護士などの専門家に相談する。
判断を誤りやすい例
- 解約できる前提の価格で売り出す。あとから解約できないと分かると、価格を下げて売り直すことになります。解約の合意が取れてから、その価格で売り出してください。
- 契約書の「解約できる」という条項だけで判断する。借地借家法の保護があるため、条項があっても、サブリース会社が応じない場合があります。
- 違約金の金額だけを見て、解約をあきらめる。違約金を払っても、解約で上がる価格のほうが大きいことがあります。両方を並べて計算してください。
- 売却の通知を後回しにする。契約によっては、売るときに事前の通知や承諾が必要です。買い手が決まってから気づくと、引渡しが遅れます。
法律の判断が必要なとき
解約に正当な事由があるかどうかは、個別の事情で判断されます。サブリース会社と合意できない場合や、違約金の金額に納得できない場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。なお、サブリース会社には、契約の前に重要な事項を説明する義務や、誇大な広告の禁止が、法律(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)で定められています。
当サイトの査定では、保証賃料を入力していただき、引き継ぐ場合の価格の目安と、解約できた場合の目安を表示します。解約を前提にした詳しい価格は、個別査定でご相談ください。
本記事は一般的な考え方の解説です。表示する価格は概算であり、実際の売却価格を保証するものではありません。売却をご希望の場合は、当社または提携する宅地建物取引業者が対応します。
この記事に関するQ&A
- Q. 契約書に「オーナーは6か月前の通知で解約できる」とあります。解約できますか?
- A. サブリース会社が応じれば解約できます。応じない場合は、借地借家法により、オーナーからの解約には正当な事由が必要とされるのが一般的で、条項のとおりに解約できるとは限りません。まずサブリース会社に書面で申し入れ、合意できないときは弁護士などの専門家にご相談ください。
- Q. 違約金を払えば、解約できますか?
- A. 違約金などの条件でサブリース会社と合意できれば、解約できます。違約金は契約書で決まっていることが多く、保証賃料の数か月分が目安です。解約で上がる売却価格と違約金を比べ、手元に多く残るほうを選んでください。
- Q. サブリース契約のまま売ると、買主が解約することはできますか?
- A. 契約は買主に引き継がれるのが一般的で、買主もオーナーとして同じ制約を受けます。そのため買い手は、解約できない前提で、保証賃料をもとに価格を考えます。サブリース中の物件が、通常の賃貸より低い価格になりやすいのは、このためです。
関連するよくある質問

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橋本裕介
不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士
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