空室のワンルームを売るときの価格の目安と、入居付けとの比較
空室のワンルームは、周辺の募集家賃で貸せる前提で価格を考えます。当社の査定は賃貸中か空室かで利回りを変えず、入力された募集家賃をそのまま計算に使います。入居付けしてから売るかは、入居付けの費用と空室の期間の家賃を並べて比べます。
空室の投資用ワンルームは、募集家賃で貸し直せる前提で価格を考えます。空室のまま売る場合と入居付けしてから売る場合の違いを、計算例と入居付けの費用で整理します。
執筆・監修:橋本裕介(不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士)|更新日 2026-10-19
結論:空室は「相場の家賃で貸せる部屋」として評価される
空室のワンルームは、現在の家賃がない代わりに、周辺の相場(募集家賃)で貸し出せる前提で価格が考えられます。長く住んでいる入居者の家賃が相場より低い場合、空室のほうが高い家賃を前提にできることもあります。当社の査定では、賃貸中か空室かで利回りを変えず、入力された募集家賃をそのまま計算に使います。
募集家賃を5%高く置くと、価格は5%以上高く出る
収益還元法では、価格は「家賃から管理費と修繕積立金を引いた金額」に比例します。管理費と修繕積立金は家賃が変わっても同じ額なので、家賃の変化は少し大きくなって価格に表れます。
例: 直前の家賃が月8万円、管理費と修繕積立金が合計1.5万円の部屋。募集家賃を月8.4万円(5%上)にすると、収益は月6.5万円から6.9万円になり、価格は約6%上がる計算です。ただし、その家賃で実際に入居が決まらなければ、買い手はその価格を認めません。募集家賃は、同じ建物や近隣の成約した募集条件をもとに、決まる水準で置いてください。
| 募集家賃(月) | 直前の家賃との差 | 月の収益(家賃 − 管理費・修繕積立金) | 価格の変化(計算上) |
|---|---|---|---|
| 7.2万円 | −10% | 5.7万円 | 約 −12% |
| 7.6万円 | −5% | 6.1万円 | 約 −6% |
| 8.0万円(直前の家賃) | ±0 | 6.5万円 | ±0(基準) |
| 8.4万円 | +5% | 6.9万円 | 約 +6% |
| 8.8万円 | +10% | 7.3万円 | 約 +12% |
※ 直前の家賃 月8万円・管理費と修繕積立金 合計1.5万円の部屋の計算例。収益還元法では価格は月の収益に比例するため、収益の増減の割合がそのまま価格の増減の割合になります(利回りの値によらない)。家賃の5%の差が価格では約6%になるのは、管理費と修繕積立金が家賃に関係なく同じ額だからです。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。
空室の成約データについて
当社が精度の検証に使っている成約は、賃貸中のまま売買された物件(オーナーチェンジ)です。空室で売買された成約は、家賃が確定していないため検証に含めていません。つまり、空室の物件の価格の目安は「募集家賃で貸せる前提」の計算上の目安で、賃貸中の物件ほど成約で確かめられていません。空室のまま売る場合、買い手が投資家に限られることもあり、成約価格は目安より下に振れることがあります。
空室のまま売るか、入居付けしてから売るか
投資家の買い手は入居中の物件を好む傾向があり、空室のままだと買い手が限られることがあります。一方で、入居付けには時間と費用がかかります。
例: 家賃8万円の部屋で、入居付けに2か月かかり、広告料として家賃1か月分を払う場合、空室期間の家賃2か月分と広告料1か月分で、家賃3か月分(24万円)に加えて、その間の管理費・修繕積立金・ローン返済がオーナーの負担です。入居付けで家賃が上がる見込みがあれば、上の計算例のとおり価格も上がるので、費用と価格の差を比べて決めます。
判断を誤りやすい例
- 相場より高い募集家賃で査定し、その価格で売り出す。入居が決まらないまま売り出すと、買い手は募集家賃を信用せず、近隣の成約家賃で価格を考えます。
- 入居付けの費用を忘れて「入居中のほうが高く売れる」とだけ考える。空室期間の費用と広告料を引いて、どちらの手残りが多いかで比べてください。
- 退去直後に慌てて買取業者に売る。空室でも仲介で売れます。まず仲介で成約する価格の目安を確かめてから、買取の提示額と比べてください。
本記事は一般的な考え方の解説です。表示する価格は実際の成約で確かめた計算による目安で、実際の売却価格を保証するものではありません。売却をご希望の場合は、当社または提携する宅地建物取引業者が対応します。
この記事に関するQ&A
- Q. 空室のまま売ると、価格は下がりますか?
- A. 計算上の目安は、募集家賃で貸せる前提なので下がりません。ただし買い手が限られる分、実際の成約は目安より下に振れることがあります。入居が決まってから売るか、空室のまま売るかは、入居付けの費用と時間で比べてください。
- Q. 募集家賃はどう決めればいいですか?
- A. 同じ建物や近隣で、実際に入居が決まった募集条件を基準にします。管理会社が出す「募集中」の家賃は決まらないまま下げることも多いので、決まった家賃で置くのが安全です。当社の結果画面では、家賃が5%・10%上がった場合の価格も並べて表示します。
- Q. リフォームしてから売ったほうがいいですか?
- A. 投資用ワンルームの価格は家賃で決まるので、リフォームで家賃が上がる見込みがなければ、費用の分だけ手残りが減ります。原状回復(クリーニング・クロス交換)は入居付けに必要ですが、設備の入れ替えは家賃に反映されるかどうかで判断してください。
関連するよくある質問

査定を監修するのは私です
橋本裕介
不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士
査定の計算方法と精度は、実際の成約で検証しています。当サイトは売却をおすすめするための査定ではなく、いま売るといくらか、持ち続けるとどうかを、オーナーの立場で整理するためのものです。