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ワンルーム売却の基礎知識

業者の買取提示額が査定より低いのはなぜ?仲介と買取の正しい比べ方

投資用ワンルームの買取提示額は、仲介で成約する価格の目安より5〜10%低いのが普通です。低くなる理由(再販の経費と利益)、仲介手数料を引いた手残りで比べる方法、2,000万円の計算例、買取が向く場合を整理します。

執筆・監修:橋本裕介(不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士)|更新日 2026-10-10

結論:買取の提示額が5〜10%低いのは普通。比べるのは手残り

業者の買取提示額が査定より低いのは、業者が不当に安く買おうとしているからではなく、買取という売り方の仕組みによるものです。当サイトの価格は「仲介で成約する価格の目安」で、買取の提示額はそれより5〜10%ほど低くなるのが普通です。

比べるときに見るのは、価格そのものではなく手残りです。仲介では仲介手数料がかかり、買取ではかかりません。手数料を引いたうえで、差額と、売却を急ぐかどうかを並べて決めます。この記事では、低くなる理由と、手残りでの比べ方を計算例で確かめます。

低くなる理由:買取業者は、再販の経費と利益を見込んで仕入れる

買取再販業者は、仕入れた物件を自社の販売網(営業担当・提携ローン)で次の買い手に再販します。再販までの金利・税金・販売の人件費・広告費と、自社の利益を仕入れ価格から差し引くため、提示額は仲介で成約する価格より低くなります。見込む幅は業者と物件によりますが、再販価格と仕入れ価格の差は概ね1〜2割です。

投資用ワンルームの価格には、①買取再販業者の仕入れ価格、②仲介で成約する価格、③業者が自社の販売網で次の買い手に再販する価格、の3つの段階があります。当サイトが出すのは②です。③は業者の販売体制があって成り立つ価格で、所有者が仲介で直接得られる価格ではありません。買取の提示額(①)を見て「査定が高すぎる」と判断したり、③の価格を聞いて「仲介ならもっと高く売れる」と期待したりすると、どちらも判断を誤ります。

比べ方:仲介は手数料を引き、買取はそのままで並べる

仲介で売ると、仲介手数料がかかります。上限は法律で決まっていて、価格の3%に6万円を足し、消費税を加えた金額です。買取では、業者が直接買うので仲介手数料はかかりません。そのため、仲介の価格から手数料を引いた金額と、買取の提示額をそのまま並べて比べます。

計算例: 当サイトの目安が2,000万円の物件なら、仲介手数料の上限は72.6万円(60万円+6万円に消費税10%)で、手残りは1,927.4万円です。買取の提示額が1,850万円(目安の92.5%)なら、仲介のほうが約77万円多く残る計算です。提示額が1,900万円(95%)なら差は約27万円で、目安の3%以内に収まるため「ほぼ同じ水準」と言えます。

当サイトの出口戦略診断で他社の提示額を入力すると、この計算を自動で行い、残債が分かればローン完済後に残る金額も並べて表示します。

買取の提示額目安に対する割合仲介の手残り(手数料を引いた後)買取との差見方
1,800万円90%1,927万円仲介が約127万円多い差が大きい。急ぐ事情がなければ仲介を先に
1,850万円92.5%1,927万円仲介が約77万円多い一般的な提示額の水準
1,900万円95%1,927万円仲介が約27万円多い目安の3%以内。ほぼ同じ水準
1,950万円97.5%1,927万円買取が約23万円多い早さと確実さを考えると前向きに検討できる

※ 当サイトの目安 2,000万円(仲介で成約する価格の目安)の物件で、仲介手数料を上限(価格×3%+6万円、消費税10%)で計算した例。目安は概算で、実際の売却価格を保証するものではありません。このほかにローンの繰上返済手数料・抵当権抹消の費用・譲渡所得税がかかる場合があり、これらは仲介・買取のどちらでもかかります。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。

買取が向く場合、仲介が向く場合

買取の利点は、価格以外の部分にあります。売却の時期が決まる(買い手を探す期間が要らない)、契約が流れにくい(買い手のローン審査がない)、契約後の責任(契約不適合責任)が免除または軽くなることが多い、内見の対応が要らない、の4つです。相続や転勤で時期を優先したい場合、残債の返済期日が迫っている場合、入居者とのトラブルを抱えたまま手放したい場合は、手残りの差より早さと確実さに価値があります。

仲介が向くのは、手残りを優先できる場合です。買い手を探す期間(数週間から数か月)を待てて、価格の差が数十万円以上あるなら、仲介で売り出し、反応を見ながら価格を見直す進め方のほうが、残る金額は大きくなります。仲介で売り出している間に買取の提示を受けることもできるので、両方を並べて選べます。

提示額を受けたときに確かめること

  • 提示額の有効期限と、金額が変わる条件(現地確認・書類確認の後に減額されることがある)。
  • 手付金の額と、引渡しの時期。
  • 契約不適合責任の扱い(免責か、期間を限るか)と、設備の修理の負担。
  • 仲介手数料のほかに費用がかかるか(買取でも、提示した業者が仲介の立場で入る場合は手数料がかかることがある)。
  • 専任媒介契約を結んでいる場合は、契約期間中に別の業者の買取に応じられるかを、契約書で確かめる。

判断を誤りやすい例

  • 買取の提示額だけを見て「査定が高すぎる」と決めつける。提示額が目安の90〜95%なら、仕組みどおりの水準です。
  • 仲介の価格と買取の提示額を、手数料を引かずに比べる。仲介の価格からは手数料を引いて並べます。
  • 「仲介なら必ず目安の価格で売れる」と考える。目安は概算で、売れるまでに時間がかかることがあります。急ぐ事情があるなら、買取の確実さに価値があります。
  • 業者の再販価格を聞いて、その価格を仲介で狙う。再販価格は業者の販売体制があって成り立つもので、所有者が仲介で得られる価格ではありません。

当サイトでできること

無料査定で仲介で成約する価格の目安を確かめ、出口戦略診断で他社の提示額を入力すると、仲介手数料を引いた手残りの比較と、残債がある場合の完済後に残る金額を表示します。どちらが得かは断定せず、差額と急ぐ事情を並べて、判断の材料にしていただく形です。

本記事は一般的な考え方の解説です。表示する価格は概算であり、実際の売却価格を保証するものではありません。売却をご希望の場合は、当社または提携する宅地建物取引業者が対応します。

この記事に関するQ&A

Q. 買取の提示額は、査定の何%くらいが普通ですか?
A. 仲介で成約する価格の目安に対して、90〜95%(5〜10%低い)が一般的な水準です。業者が再販の経費と利益を見込むためで、物件の築年数や立地、業者の在庫の状況によって幅があります。比べるときは、仲介の価格から仲介手数料を引いた手残りと並べてください。
Q. 買取なら仲介手数料はかかりませんか?
A. 業者が自分で買う場合はかかりません。ただし、提示した会社が「買取業者を紹介する仲介」の立場で入る場合は、仲介手数料がかかることがあります。提示額を受けたら、その会社が買主になるのか、仲介として入るのかを確かめてください。
Q. 買取と仲介、どちらにすべきか決められません。
A. 手残りの差と、売却を急ぐ事情の2つで決めます。差が目安の3%以内なら、早さと確実さのある買取を前向きに検討できます。差が大きく、買い手を探す期間を待てるなら、仲介で売り出し、その間に買取の提示も受けて両方を並べる進め方が無理のない形です。

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橋本裕介

不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士

査定の計算方法と精度は、実際の成約で検証しています。当サイトは売却をおすすめするための査定ではなく、いま売るといくらか、持ち続けるとどうかを、オーナーの立場で整理するためのものです。

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