投資用ワンルームの売却にかかる費用と手残りの計算(手数料・税金・抵当権)
投資用ワンルームを売るときにかかる費用の一覧と、手残りの計算。仲介手数料の上限、印紙税、抵当権抹消の費用、繰上返済手数料、譲渡所得税(所有5年の境目で税率が変わる)を、2,000万円で売る計算例で整理します。
執筆・監修:橋本裕介(不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士)|更新日 2026-10-08
結論:売却価格の4%前後が費用。残債と税金を引いたものが手残り
投資用ワンルームを仲介で売るときの費用は、仲介手数料・印紙税・抵当権抹消の費用・ローンの繰上返済手数料で、合計は売却価格の4%前後です。2,000万円で売る場合は約76万円です。ここから残債を返し、翌年に譲渡所得税(売却で利益が出た場合)を納めた残りが、最終的な手残りです。
この記事では、費用を1つずつ「いくら・いつ払うか」で整理し、2,000万円の計算例で手残りまでの流れを示します。税率は2026年10月時点の国税庁の公表値で、法改正で変わることがあります。個別の税額は税理士にご確認ください。
費用の一覧(2,000万円で売る場合)
仲介手数料は法律で上限が決まっていて、価格の3%に6万円を足し、消費税を加えた金額です。印紙税は売買契約書に貼る印紙で、1,000万円超〜5,000万円以下の契約は軽減措置で1万円です(本則は2万円。軽減は2027年3月31日まで)。抵当権抹消は、登録免許税が不動産1個につき1,000円(土地と建物で2,000円)と、司法書士に頼む場合の報酬が1〜2万円です。繰上返済手数料は金融機関によって異なり、無料から数万円です。
| 費用 | 金額の目安(2,000万円で売る場合) | いつ払うか | 備考 |
|---|---|---|---|
| 仲介手数料 | 72.6万円 | 契約時に半金、引渡し時に残り(取り決めによる) | 上限は価格×3%+6万円+消費税。買取で業者が直接買う場合は不要 |
| 印紙税 | 1万円 | 契約時 | 売買契約書に貼る。1,000万円超〜5,000万円以下。軽減措置は2027年3月31日まで |
| 抵当権抹消の費用 | 約2万円 | 引渡し時 | 登録免許税 2,000円(土地・建物)+司法書士の報酬 1〜2万円 |
| ローンの繰上返済手数料 | 0〜数万円 | 引渡し時(残債の一括返済時) | 金融機関による。事前に確認 |
| 合計 | 約76万円 | 売却価格の約3.8% |
※ 2026年10月時点。仲介手数料は上限で計算(消費税10%)。印紙税・登録免許税は国税庁・法務局の公表値。司法書士の報酬と繰上返済手数料は目安で、依頼先・金融機関によって異なります。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。
引渡し時の精算:固定資産税と管理費
費用ではありませんが、引渡し時に精算する項目があります。固定資産税・都市計画税は、その年の分を売主が納めているので、引渡し日以降の分を日割りで買主から受け取ります。管理費・修繕積立金も同じく日割りで精算します。入居中の物件では、敷金(預り金)を買主に引き継ぐため、その分を売却代金から差し引くのが一般的です。家賃は引渡し月の分を日割りで分けます。
譲渡所得税:所有5年の境目で税率が2倍近く変わる
売却で利益(譲渡所得)が出た場合、翌年の確定申告で譲渡所得税を納めます。譲渡所得は「売却価格 − 取得費 − 譲渡費用」です。取得費は購入価格と購入時の諸費用から、これまで経費にした建物の減価償却費を引いた金額です。譲渡費用は仲介手数料・印紙税など売るためにかかった費用です。
税率は所有期間で変わります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得で20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)、5年以下なら短期譲渡所得で39.63%(所得税30%・復興特別所得税0.63%・住民税9%)です。「5年」は購入日からではなく、売却した年の1月1日で数えるため、購入から丸5年経った直後に売ると短期になることがあります。
計算例: 2,000万円で売却、取得費1,650万円(購入1,800万円から減価償却費を引いた額と仮定)、譲渡費用76万円なら、譲渡所得は274万円。長期なら約55.7万円、短期なら約108.6万円の税額です。売却で損が出た場合は税金はかかりません(投資用の場合、給与所得との損益通算はできません)。
| 区分 | 判定(売却した年の1月1日時点) | 税率 | 譲渡所得274万円の場合の税額 |
|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 所有期間が5年を超える | 20.315% | 約55.7万円 |
| 短期譲渡所得 | 所有期間が5年以下 | 39.63% | 約108.6万円 |
※ 2026年10月時点の国税庁の公表値(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)。復興特別所得税は2037年まで。取得費・減価償却の計算は物件ごとに異なります。税額は税理士にご確認ください。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。
手残りの計算例:2,000万円で売り、残債1,500万円の場合
売却価格2,000万円から費用約76万円を引くと1,924万円。ここから残債1,500万円を返すと、引渡し時の手残りは約424万円です。翌年に譲渡所得税(上の例で長期なら約55.7万円)を納めると、最終的な手残りは約368万円になります。固定資産税・管理費の精算と敷金の引き継ぎで、数万円の増減があります。
当社の出口戦略診断では、残債を入力すると仲介手数料を引いた手残りを表示します。印紙税・抵当権抹消・繰上返済手数料・譲渡所得税は含まないので、この記事の一覧で補ってください。
判断を誤りやすい例
- 売却価格から残債を引いた額を手残りと考える。仲介手数料などの費用約4%と、翌年の譲渡所得税を忘れると、見込みより100万円以上少なくなることがあります。
- 購入から5年経った直後に売る。「5年」は売却した年の1月1日で数えるので、年をまたぐまで待つと税率が半分近くになる場合があります。
- 取得費を購入価格のまま計算する。投資用は減価償却費を引いた額が取得費になるため、譲渡所得は見込みより大きくなります。
- 買取なら費用がゼロと考える。仲介手数料はかかりませんが、印紙税・抵当権抹消・繰上返済手数料・譲渡所得税は同じようにかかります。
当サイトでできること
無料査定で売却価格の目安を出し、出口戦略診断で残債を入力すると、仲介手数料を引いた手残りと、残債との関係を表示します。売却をご希望の場合は、当社または提携する宅地建物取引業者が対応し、費用の見積もりと精算の流れをご説明します。
本記事は一般的な考え方の解説です。表示する価格は概算であり、実際の売却価格を保証するものではありません。売却をご希望の場合は、当社または提携する宅地建物取引業者が対応します。
この記事に関するQ&A
- Q. 投資用ワンルームの売却費用は、合計でいくらくらいですか?
- A. 仲介で売る場合、仲介手数料・印紙税・抵当権抹消の費用・繰上返済手数料の合計で、売却価格の4%前後です。2,000万円なら約76万円で、大半は仲介手数料(上限72.6万円)です。このほかに、利益が出た場合は翌年に譲渡所得税がかかります。
- Q. 譲渡所得税は、いくらかかりますか?
- A. 売却価格から取得費(購入価格の諸費用込みから減価償却費を引いた額)と譲渡費用を引いた利益に、所有5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%がかかります。5年は売却した年の1月1日時点で数えます。損が出た場合はかかりません。個別の税額は税理士にご確認ください。
- Q. 買取で売る場合、費用はどう変わりますか?
- A. 業者が直接買う場合、仲介手数料はかかりません。印紙税・抵当権抹消の費用・繰上返済手数料・譲渡所得税は仲介と同じようにかかります。買取の提示額は仲介で成約する価格より低いのが普通なので、仲介手数料を引いた手取りどうしで比べてください。
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橋本裕介
不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士
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