金利が上がったら、投資用ワンルームは持つべきか売るべきか
金利の上昇は、毎月の返済と売却価格の両方に効きます。残債2,000万円の計算例で、返済がいくら増え、価格がどれだけ下がるかを示し、持つか売るかを決める3つの数字(収支が赤字に転じる上昇幅、いま売ったときの手残り、築30年までの年数)を整理します。
執筆・監修:橋本裕介(不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士)|更新日 2026-10-05
結論:金利の上昇は「返済」と「売却価格」の両方に効く
金利が上がると、変動金利で借りている人は毎月の返済が増えます。同時に、これから買う人が求める利回りも上がるため、売却価格は下がる方向に動きます。持ち続ける場合の負担と、売る場合の価格の両方が変わる点が、金利上昇のやっかいなところです。
持つか売るかは、気分や報道ではなく、3つの数字で決められます。金利が何ポイント上がると毎月の収支が赤字になるか。いま売ると手元にいくら残るか(または残債が残るか)。築30年まであと何年か。この3つです。
返済への影響:0.25ポイントで月いくら増えるか
例として、ローン残債2,000万円、金利1.9%、毎月の返済が約8万円(残りの返済期間は約26年半)の場合を計算します。
投資用のローンには、返済額の急な上昇を抑える「5年ルール」「125%ルール」が無い商品もあり、金利の上昇がそのまま返済に反映されることがあります。ご自身の契約がどちらかは、金銭消費貸借契約書か金融機関で確かめてください。
| 金利の上昇幅 | 借入金利 | 毎月の返済 | 増える額 |
|---|---|---|---|
| 現在 | 1.90% | 約79,900円 | — |
| +0.25ポイント | 2.15% | 約82,400円 | 月 約2,500円 |
| +0.5ポイント | 2.40% | 約84,900円 | 月 約5,000円 |
※ 残債2,000万円・残り約26年半・元利均等返済の計算例。金利の上昇幅がそのまま借入金利に乗る前提です。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。
売却価格への影響:買い手の求める利回りが上がる
投資用ワンルームの買い手の多くは、ローンを使って購入します。金利が上がると、買い手は同じ家賃収入に対して、より高い利回りを求めるようになります。家賃が同じなら、価格は下がります。
家賃が変わらず、買い手の求める利回りが金利と同じ幅だけ上がると仮定して、横浜市の築14年の部屋(価格の目安2,490万円)で計算すると、0.25ポイントの上昇で価格は約6%、0.5ポイントで約11%下がります。下がる割合は物件で変わり、都心の築浅のように、もとの価格が家賃に対して高い物件ほど大きくなります。これは仮定を置いた計算で、実際の価格がこのとおりに動くとは限りません。
価格を支える要素もあります。家賃です。家賃が5%上がれば、価格も5%強上がります。物価の上昇で周辺の家賃が上がっている地域では、金利上昇による下落を、家賃の上昇が一部打ち消します。
持つか売るかを決める3つの数字
次の表は、判断の目安です。どれか1つだけで決めず、3つを合わせて見てください。
| 確かめる数字 | 持つ選択が取りやすい | 売却を具体的に検討したい |
|---|---|---|
| 収支が赤字に転じる金利の上昇幅 | 1ポイント上がっても毎月の収支が黒字 | 0.25〜0.5ポイントで赤字に転じる、またはすでに持ち出し |
| いま売ったときの手残り | 残債を完済して手元に残る | 売っても残債が残る(自己資金で補う必要がある) |
| 築30年までの年数 | 10年以上ある | 築27〜29年(築30年を超えると価格の水準が下がりやすい) |
※ 売っても残債が残る場合は、売却を急ぐより、繰上返済・家賃の見直し・サブリース契約の見直しを含めて検討するほうがよいことがあります。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。
判断を誤りやすい例
- 返済額だけを見て、価格の変化を見ない。毎月の持ち出しが数千円でも、その間に売却価格が下がれば、後で売ったときの手残りは減ります。返済と価格は、並べて見てください。
- 「金利が上がる前に」と急いで、買取に出す。買取の提示額は、仲介で成約する目安より5〜10%ほど低いのが普通です。急いで失う金額が、金利上昇で失う金額より大きくなることがあります。
- 固定金利だから関係ないと考える。返済額は変わりませんが、売却価格は、これから買う人の金利で決まります。売る予定があるなら、固定金利でも価格への影響は受けます。
- 家賃を据え置いたまま判断する。更新や入れ替えのときに家賃を相場に合わせられれば、収支も価格も改善します。まず、いまの家賃が周辺の募集家賃より低くないかを確かめてください。
当サイトで確かめられること
当サイトの出口戦略診断では、ローン残債・借入金利・毎月の返済額を入力すると、政策金利が現在のまま、0.25ポイント、0.5ポイント上がった場合(1.25%・1.5%・1.75%)の、毎月の収支・売却価格の目安・売ったときの手残りを並べて表示します。現在の政策金利は1.25%(2026年9月時点)として計算しています。
査定も診断も無料で、会員登録や連絡先の入力は要りません。結果は概算であり、将来の金利・家賃・売却価格を保証するものではありません。
本記事は一般的な考え方の解説です。表示する価格は概算であり、実際の売却価格を保証するものではありません。売却をご希望の場合は、当社または提携する宅地建物取引業者が対応します。
この記事に関するQ&A
- Q. 金利が上がると、投資用ワンルームの価格は下がりますか?
- A. 下がる方向に働きます。買い手の多くはローンを使うため、金利が上がると、同じ家賃に対してより高い利回りを求めるようになるからです。ただし、家賃が上がればその分は価格を押し上げるため、実際の動きは地域や物件で変わります。家賃が変わらない前提の計算例では、買い手の求める利回りが0.25ポイント上がると、価格は約6%下がります。
- Q. 毎月の収支が赤字になったら、売ったほうがよいですか?
- A. 赤字の大きさと、いま売ったときの手残りで変わります。売って残債を完済できるなら、売却は有力な選択肢です。売っても残債が残る場合は、不足分を自己資金で補う必要があるため、繰上返済や家賃の見直しで収支を改善する方法と比べてください。出口戦略診断で、両方の数字を並べて確かめられます。
- Q. 固定金利で借りています。金利の上昇は関係ありませんか?
- A. 返済額は変わりません。ただし、売却価格は、これから買う人が借りる金利の影響を受けます。持ち続けるだけなら影響は小さく、数年以内に売る予定があるなら、価格への影響は変動金利の人と同じです。なお、当サイトの保有診断は、変動金利として計算しています。
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橋本裕介
不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士
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