その投資用ワンルーム、買っても大丈夫?結果を決めるのは「販売価格と相場の差」
提示価格が成約の目安より25〜68%高かった販売中の4件は、税金と費用まで入れると手元がすべてマイナスでした。成約価格で買っていた場合は、東京23区の成約415件のうち築年帯ごとに76〜94%が手元にお金が残る計算です(2026年11月時点)。
投資用ワンルームを買って、何年後に売ったら手元にお金が残るか。販売中の8件と、東京23区の実際の成約415件を同じ計算で比べると、結果を分けたのは物件の種類ではなく、販売価格と相場の差でした(2026年11月時点)。
執筆・監修:橋本裕介(不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士)|更新日 2026-11-03
結論: ワンルームは損をするのではなく、相場との差を払うかどうかで決まる
「投資用ワンルームは買うと損をする」と言われることがあります。実際に計算してみると、結果を分けたのは物件の種類ではなく、買う価格が相場より高いかどうかでした。相場より高く買うと、その差を毎月の持ち出しと売るときの価格で取り返す必要があり、多くの場合は取り返せません。相場に近い価格で買えていれば、入居者の家賃でローンの元金が減っていく分、手元にお金が残る計算になります。
以下の数字は、当サイトの購入前チェックと同じ計算です。自己資金10万円・金利1.9%・35年のローン・年収700万円・入居者の入れ替えは4年に1回とし、売る年は築30年の直前(20年以内に来る場合)か10年後です。税金と、入居者の入れ替え・設備の交換・修繕積立金の値上がりの費用まで入れています。
販売中の8件で計算すると(2026年11月3日に掲載されていた物件)
東京23区で販売されていた投資用ワンルーム8件を、提示価格で買った場合で計算しました。提示価格は売り出しの価格で、成約した価格ではありません。家賃は掲載されていた満室時の家賃・想定家賃です。
| 区・築年 | 提示価格は成約の目安の | 毎月の収支 | 売る年 | 税金と費用まで入れた手元 |
|---|---|---|---|---|
| 板橋区・築3年 | 125% | −3.1万円 | 10年後 | −498万円 |
| 葛飾区・築3年 | 130% | −2.6万円 | 10年後 | −536万円 |
| 葛飾区・築3年 | 125% | −2.6万円 | 10年後 | −467万円 |
| 江東区・築18年 | 168% | −3.5万円 | 11年後 | −780万円 |
| 江東区・築10年 | 104% | −1.9万円 | 19年後 | +391万円 |
| 足立区・築12年 | 86% | +0.6万円 | 17年後 | +685万円 |
| 足立区・築12年 | 86% | +0.5万円 | 17年後 | +623万円 |
| 豊島区・築21年(空室) | 98% | −1.3万円 | 8年後 | +177万円 |
※ 2026年11月3日時点の掲載から計算。物件名と掲載先は出していません。足立区の2件は、同じ建物の2026年7月の成約が当社の目安の65%だったため、目安が高めに出ている可能性があります。豊島区の空室の物件は、想定家賃が同じ条件の成約の家賃の127%で、結果はこの想定に支えられています。
成約価格で買えていたら(東京23区の成約415件)
同じ計算を、当社が集めた東京23区の実際の成約(2026年7〜10月・30㎡未満の415件)に当てはめました。その成約価格で買っていた場合です。どの築年帯も毎月の収支はマイナスでしたが、入居者の家賃でローンの元金が減る分、売る年には手元にお金が残る計算になりました。
ただし、この結果は甘めに出ます。当サイトの成約の目安はこれらの成約で合わせているので、相場どおりに売れる前提になり、家賃も変わらない前提です。また、新築を販売会社から直接買う価格はこの成約には入っていません。
| 築年・契約 | 件数 | 成約価格は目安の | 毎月の収支 | 税金と費用まで入れた手元 | プラスの割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 築7年未満・通常の賃貸 | 59件 | 97% | −1.6万円 | +205万円(10年後) | 76% |
| 築7年未満・サブリース | 26件 | 103% | −1.2万円 | +184万円(10年後) | 77% |
| 築8〜12年・通常の賃貸 | 102件 | 99% | −1.5万円 | +385万円(18年後) | 91% |
| 築8〜12年・サブリース | 31件 | 104% | −1.2万円 | +340万円(18年後) | 94% |
| 築17〜22年・通常の賃貸 | 166件 | 99% | −1.2万円 | +188万円(9年後) | 78% |
| 築17〜22年・サブリース | 31件 | 97% | −0.4万円 | +291万円(9年後) | 90% |
※ 値は中央値。当社が集めた実際の成約(販売図面と成約価格が分かるもの)から、2026年11月3日に計算。売る年は築30年の直前か10年後。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。
結果を分ける3つの「どこで」
同じ部屋でも、どこから買うか、どこで管理するか、どこで売るかで、手元に残る金額は大きく変わります。台東区・築18年・25.5㎡・家賃88,000円の部屋を2,480万円で買う例(成約の目安は2,240万円)で比べます。
- どこから買うか: 目安の2,240万円で買えていれば、11年後の手元は約284万円多くなります。3つの中でいちばん大きな差です
- どこで管理するか: 管理委託料が家賃の5%(月4,400円)か月980円かで、11年で約45万円変わります
- どこで売るか: 業者の買取の提示額は、仲介で成約する価格より低くなるのが一般的です。5〜10%低ければ、約112〜224万円の差になります
販売のときの説明で、省かれやすい数字
販売のときの説明では、家賃と返済に「税金の還付」を足した手元が示されることがあります。還付は実際に受け取れますが、成約415件の計算では初年度で14〜21万円ほどで、2年目からは小さくなります。売るときには、減価償却した分だけ利益が大きく計算されるため、受けた還付の一部、またはそれ以上を払い直すことになります。
入居者の入れ替え(空室・広告料・クリーニング)、給湯器やエアコンの交換、修繕積立金の値上がりも、説明では省かれやすい費用です。築浅の物件は修繕積立金が低く設定されていることが多く、国土交通省のガイドラインの平均まで上がると、販売中の築3年の物件では月6,000円前後の負担増になりました。
判断を誤りやすい例
買う前に、次の点を確かめてください。
- 「家賃は上がるので大丈夫」: 家賃が5%違うだけで、例の部屋の11年後の手元は +37万円から +200万円に変わります(売る年までに少しずつ上がる場合)。上がる前提で決めず、上がらない場合も並べて見ます
- 「還付金で黒字になる」: 還付は初年度が大きく、2年目から小さくなります。売るときの税金も合わせて見ます
- 空室の物件の想定家賃をそのまま使う: 同じ条件の成約の家賃と比べて、高すぎないかを確かめます
- 新築の販売価格: 販売の費用が含まれるため、買った直後の成約の目安は購入価格より低くなるのが普通です。その差をいつ取り返せるかを見ます
あなたの物件で確かめる
購入前チェックでは、物件名・提示価格・家賃・管理費と修繕積立金を入れると、何年後に売ったら手元にお金が残るか、毎月の収支、成約の目安との差が出ます。売る時期(築30年の直前・10年後・5年後)を切り替えて比べられます。登録は要りません。
この計算は買う・買わないを決めるものではなく、将来の価格や利益をお約束するものでもありません。税金は概算で、実際の税額は税理士にご確認ください。
本記事は一般的な考え方の解説です。表示する価格は概算であり、実際の売却価格を保証するものではありません。売却をご希望の場合は、当社または提携する宅地建物取引業者が対応します。
この記事に関するQ&A
- Q. 新築の投資用ワンルームは買うと損ですか?
- A. 新築だから損というわけではありません。新築の販売価格には販売の費用が含まれるため、買った直後の成約の目安は購入価格より低くなるのが普通です。販売中の築3年の3件は、提示価格が成約の目安より25〜30%高く、税金と費用まで入れた10年後の手元はマイナス467〜536万円でした(2026年11月時点)。その差をいつ取り返せるかを確かめてから決めてください。
- Q. 税金の還付金で元は取れますか?
- A. 還付は受け取れますが、東京23区の成約415件の計算では初年度で14〜21万円ほどで、2年目からは小さくなります。売るときには減価償却した分だけ利益が大きく計算され、受けた還付の一部またはそれ以上を払い直すことになります。還付だけで価格の差を埋めるのは難しいのが一般的です。
- Q. 購入前チェックで、買うか買わないかは決まりますか?
- A. 決まりません。購入前チェックは、提示された価格と家賃で、何年後に売ったら手元にお金が残るかを計算する道具です。相場どおりに売れ、家賃が変わらない前提の概算で、将来の価格や利益をお約束するものではありません。
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橋本裕介
不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士
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