新築・販売中の投資用ワンルームの価格は、中古で成約する目安よりどれだけ高い?差ごとの手元の計算
販売価格が中古で成約する目安の100%なら、表示例の部屋(台東区・築18年・家賃88,000円)は11年後に売って税金と費用まで入れて約191万円のプラス、110%で約10万円のマイナス、120%で約221万円のマイナスになります(2026年11月6日時点の計算)。差の大きさが、買ったあとの結果をいちばん左右します。
投資用ワンルームの販売価格には販売の費用が含まれ、中古で成約する目安より高いのが普通です。目安との差が5%・10%・20%のとき、11年後に売って手元にいくら残るかを同じ部屋で計算した表と、差の理由を販売会社に確かめる方法。
執筆・監修:橋本裕介(不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士)|更新日 2026-11-06
結論: 販売価格と、中古で成約する目安の差を先に確かめる
投資用ワンルームの販売価格には、販売会社の営業・広告・提携ローンの費用と利益が含まれています。そのため、買った直後に中古で売れる価格(成約の目安)は、販売価格より低いのが普通です。新築や、販売会社が売主の中古では、その差が大きくなりがちです。
差そのものが悪いわけではありません。買ったあとに家賃から元金が減り、売るときの価格が差を埋めれば手元に残ります。問題は、差がいくらで、何年持てば埋まるのかを知らずに買うことです。下の表は、同じ部屋で販売価格だけを変えて計算したものです。
目安との差ごとの、11年後の手元(表示例の部屋)
台東区・築18年・25.5㎡・家賃88,000円・管理費と修繕積立金17,000円の部屋を、自己資金10万円・金利1.9%・35年のローンで買い、築30年の直前(11年後)にいまの相場のまま売る場合です。この部屋がいま中古で成約する目安は約2,240万円です。
| 販売価格(目安との比) | 毎月の収支 | 11年後の手元(家賃と返済だけ) | 税金と費用まで入れた手元 |
|---|---|---|---|
| 2,240万円(100%) | −11,132円 | +321万円 | +191万円 |
| 2,350万円(105%) | −14,720円 | +191万円 | +90万円 |
| 2,460万円(110%) | −18,308円 | +61万円 | −10万円 |
| 2,580万円(115%) | −22,222円 | −81万円 | −121万円 |
| 2,690万円(120%) | −25,809円 | −212万円 | −221万円 |
| 2,910万円(130%) | −32,985円 | −472万円 | −430万円 |
※ 購入前チェックの計算(2026年11月6日時点)。税金は年収700万円、入居者の入れ替えは4年に1回、相場どおりに売れ・家賃が変わらない前提の概算。将来の価格や利益をお約束するものではありません。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。
新築の場合: 目安の135%なら、10年後に約700万円の持ち出し
同じ区の新築(サブリース付き・保証賃料85,000円)を2,980万円で買う場合、買った直後に中古で成約する目安は約2,210万円で、販売価格は目安の135%です。10年後にいまの相場のまま売ると、家賃と返済だけで約714万円のマイナス、税金と費用まで入れて約695万円のマイナスになります。10年後に売ってもマイナスにならない購入価格の上限は約2,369万円です。
新築の販売価格に販売の費用が含まれるのは普通のことで、その分を家賃と元金の返済で取り返すには時間がかかります。何年で取り返せるかを、契約の前に数字で確かめてください。
実際の成約で確かめると: 成約価格で買っていれば、築年ごとに76〜94%がプラス
当社が集めた東京23区の成約(2026年7〜10月・30㎡未満・415件)を、その成約価格で買っていた場合で計算すると、税金と費用まで入れても築年ごとに76〜94%がプラスになります(相場どおりに売れ・家賃が変わらない前提)。つまり、中古で成約する水準で買えていれば、持っているあいだの収支と売却で手元が残りやすいということです。
逆に、2026年11月3日に販売中の掲載を8件確かめたところ、目安より25〜68%高い4件はすべて手元がマイナス、目安以下の4件はプラスでした。結果を分けるのは「いくらで買うか」です。
販売会社に、差の理由を確かめる
差があること自体は責める話ではありません。内訳が説明できるかを確かめます。
- 提示価格と、同じ建物・近くの中古の成約の差はいくらか。内訳(販売の費用・利益)は
- 諸費用は価格に含まれているか。売主は販売会社自身か
- 売るときの価格をいくらと見ているか。その根拠は
- 目安に近い価格にできる余地はあるか。できないなら理由は
判断を誤りやすい例
販売価格だけ、または毎月の負担だけを見ると、差を見落とします。
- 「毎月1万円の負担で持てる」で決める: 負担が軽いのは返済が長いからで、売るときの価格の差は別に残ります
- 「新築だから高いのは当然」で終わる: 当然でも、何年で取り返せるかは物件ごとに違います
- 「将来の値上がり」を前提にする: 過去10年は金利が下がり続けた時期の数字で、これからも同じとは限りません
本記事は一般的な考え方の解説です。表示する価格は実際の成約で確かめた計算による目安で、実際の売却価格を保証するものではありません。売却をご希望の場合は、当社または提携する宅地建物取引業者が対応します。
この記事に関するQ&A
- Q. 中古で成約する目安は、どうやって出していますか?
- A. 当社が集めた実際の成約(30㎡未満の投資用ワンルーム)で合わせた計算で、物件の家賃・管理費・修繕積立金・築年・所在地から出します。概算で、実際の価格を保証するものではありません。購入前チェックで、提示された物件ごとに確かめられます。
- Q. 販売価格が目安より高い物件は、買ってはいけないのですか?
- A. そうとは限りません。差を家賃と元金の返済で何年かけて取り返すかが分かっていれば、判断はご本人のものです。この記事と購入前チェックは、その年数と金額を数字にするための道具で、買う・買わないを決めるものではありません。
- Q. 新築の販売価格に含まれる費用とは何ですか?
- A. 営業・広告・提携ローンの手数料・販売会社の利益などです。買った直後に中古で売る場合、これらは価格に乗らないため、成約の目安は販売価格より低くなるのが普通です。
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橋本裕介
不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士
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