営業の「家賃は上がる」は本当?募集家賃の5年の動きと、家賃が5%変わったときの手元の計算
東京23区のシングル向きマンションの平均募集家賃は、2021年9月の88,430円から2026年9月の114,460円へ5年で29%上がりました(アットホーム)。ただし平均には新しい物件も入り、同じ部屋の家賃は築年とともに下がる力も働きます。表示例の部屋では、家賃が売る年までに+5%なら11年後の手元は+200万円、据え置きで+37万円、−5%で−126万円です(2026年11月6日時点の計算)。
投資用ワンルームの営業で聞く「家賃は上がるので大丈夫」を、アットホームの募集家賃の5年の動き(東京23区 +29%など8地域)と、同じ部屋の家賃が5%上下したときの11年後の手元で確かめます。保証賃料は通常の家賃の90%(中央値)という成約の数字も。
執筆・監修:橋本裕介(不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士)|更新日 2026-11-06
結論: 平均は上がったが、同じ部屋の家賃が上がるかは別の話
「家賃は上がる」という説明には、確かに裏付けがあります。この5年、主要都市のシングル向きマンションの平均募集家賃は2〜3割上がりました。ただし、この平均には新しく建った物件が入り、古い物件は抜けていきます。一つの部屋の家賃は、入居者が入れ替わるたびに周辺の相場と築年で決まり、築年が進むほど下がる力が働きます。
だから、確かめるのは「周辺の平均が上がったか」ではなく「この部屋の家賃が、次の入居者で上がるか下がるか」です。いまの家賃が周辺の成約の家賃と比べて高いなら、次の入れ替えで下がることがあります。
募集家賃の5年の動き(アットホーム・マンション 30㎡以下)
2021年9月と2026年9月の平均募集家賃(賃料+管理費・共益費等)を並べたものです。
| 地域 | 2021年9月 | 2026年9月 | 5年の変化 |
|---|---|---|---|
| 東京23区 | 88,430円 | 114,460円 | +29% |
| 東京都下 | 56,738円 | 68,802円 | +21% |
| 神奈川県 | 66,667円 | 83,161円 | +25% |
| 埼玉県 | 57,188円 | 73,078円 | +28% |
| 千葉県 | 61,174円 | 77,356円 | +26% |
| 名古屋市 | 58,381円 | 65,084円 | +11% |
| 大阪市 | 58,785円 | 74,525円 | +27% |
| 福岡市 | 50,561円 | 67,115円 | +33% |
※ 出典: アットホーム「全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向」2021年9月・2026年9月(マンション・30㎡以下の平均募集家賃)。募集の価格で、成約の家賃ではありません。平均には広さ・築年・駅の距離が違う部屋が混ざります。
家賃が5%変わると、11年後の手元はいくら変わるか(表示例の部屋)
台東区・築18年・家賃88,000円の部屋を2,480万円で買い、築30年の直前(11年後)に売る場合です。家賃は売る年までに少しずつ変わり、売る年に表の割合になる前提で、売れる価格も売る年の家賃で計算しています。
| 家賃の変化(売る年まで) | 11年後の手元(家賃と返済だけ) |
|---|---|
| −5% | −126万円 |
| 据え置き | +37万円 |
| +5% | +200万円 |
| +10% | +364万円 |
※ 購入前チェックの計算(2026年11月6日時点)。金利はそのまま、税金と入れ替えの費用は含みません。家賃の効きが大きいからこそ、上がる前提を既定にはしていません。詳しくは精度の検証ページをご覧ください。
いまの家賃は、周辺の成約の家賃と比べてどうか
表示例の部屋の家賃88,000円は、同じエリア・築年帯で当社が確かめた成約の家賃の中央値をこの広さに直した95,000円の93%(14件)です。相場より低い部屋なら、次の入居者で相場並みに上がる余地があります。逆に相場より高い部屋は、次の入れ替えで下がることがあります。購入前チェックでは、通常の賃貸なら「家賃が相場並みだったら」の数字を出します。
サブリースの物件は別です。当社が集めた成約の図面では、保証賃料は同じ区・同じ築年帯の通常の家賃の90%(中央値・36件)でした。保証賃料は契約で決まり、更新のときに見直されて下がることはあっても、相場どおりに上がることは少ないとされています。
販売会社に確かめること
「上がる」と言われたら、根拠を部屋の単位で聞きます。
- 同じ建物の直近の募集家賃と、成約した家賃はいくらか
- いまの入居者の契約はいつからか(古い契約の家賃は相場とずれていることがある)
- 次の入居者で家賃が5%下がった場合の収支は、説明の数字でどうなるか
- サブリースなら、保証賃料の見直しの時期と条件は契約書のどこに書いてあるか
判断を誤りやすい例
家賃は毎月の収支と売るときの価格の両方の土台なので、前提の置き方で結果が大きく変わります。
- 平均募集家賃の上昇を、自分の部屋の家賃の上昇と読む: 平均には新しい物件が入ります
- 家賃が上がる前提で毎月の負担を軽く見積もる: 据え置きと−5%の数字も見てから決めます
- 家賃が上がる時期は金利も上がりやすいことを忘れる: 返済額と買い手の求める水準の両方に効きます
本記事は一般的な考え方の解説です。表示する価格は実際の成約で確かめた計算による目安で、実際の売却価格を保証するものではありません。売却をご希望の場合は、当社または提携する宅地建物取引業者が対応します。
この記事に関するQ&A
- Q. この5年で家賃が上がったのに、なぜ据え置きで計算するのですか?
- A. 家賃が上がる前提を既定にすると、販売のときの説明と同じ形になり、効きが大きいためです(表示例では+5%で手元が+37万円から+200万円に)。購入前チェックでは据え置きを既定にし、−5%から+10%までの表で確かめられるようにしています。
- Q. サブリースの保証賃料も上がりますか?
- A. 契約で決まる金額なので、相場どおりには動きません。当社が集めた成約の図面では、保証賃料は通常の家賃の90%(中央値・36件)でした。更新のときに見直される条件と時期を契約書で確かめてください。
- Q. いまの家賃が相場より高いかどうかは、どう調べますか?
- A. 同じエリア・同じ築年帯・同じ広さの成約や募集の家賃と比べます。購入前チェックでは、通常の賃貸なら当社が確かめた成約の家賃の中央値と比べて、いまの家賃が何%かを出します。
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橋本裕介
不動産アナリスト/経済アナリスト・宅地建物取引士
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